| 第141号 2008年01月16日 「サブプライムローン問題から考える(その1)」
|
|
---TontonSystemのメールマガジン 第141号--------------------------------
★ 民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と方策
日本発のグローバルスタンダードへ!
2008年01月16日号(不定期発行)
---------------------第141号の目次--------------------------------------
1 今回のコラム
■ サブプライムローン問題から考える(その1)
2 次号(第142号)の予告
3 TontonSystemとは
4 TontonSystemのホームページ
5 利用配信システム
6 登録・解除・アドレス変更
7 バックナンバー
8 注意事項
------------------------------------------------------------------------
1 今回のコラム
2008年になりました。本年もよろしくお願い致します。
昨年は更新が少なく申し訳ありませんでした。本年は1カ月に1本のペースに戻し
たいと思っています。では本題です。冗長ですが是非最後までお読み下さい。
■ サブプライムローン問題から考える(その1)
イラクやアフガンで泥沼状態にあってもアメリカ株は史上空前の高値を更新していた。もうそ
う日記では一昨年10月次のように書いた。
[205] ダウ平均は「根拠なき熱狂」か 2006/10/29
最近のニューヨーク株式市場のダウ平均は最高値を更新続け、10月23日には終値で1万
2116ドルの史上最高値をつけた。その後調整し10月27日には1万2090ドルになった。
ダウ平均急上昇の理由は、企業業績と個人消費の堅調さ、利下げ期待、原油価格の低下
などによる景気のソフトランディング期待にあると思われる。
しかし筆者はそれらは「建前」であり、一番の理由は原油などに向かっていた国際投機資金
が株式市場に戻ったためと推測している。何故戻ったかというと、イラクとアフガンでの泥沼
状態を考えるとイランに対して武力攻撃ができる状況ではないと「確信」したからと思われ
る。
ブッシュ政権は中間選挙を勝たないとますます弱体化する。これでは次期大統領選挙は戦
えない。このためには国内景気を持ち直し株価を上げる必要がある。そのためには国際投
機資金には株式市場に戻ってもらわなければならない。
よって現在のダウ平均はまさに「根拠なき熱狂」ともみなせる。ブッシュ政権が国際投機資金
から見放されれば「ブラックマンデー」が何時起きてもおかしくはないのである。
(もうそう日記終わり)
この後ブッシュ政権は中間選挙で負けたがこれが戦争拡大につながらないとみたかアメリカ
株は上昇を続けた。そして昨年の2月から3月にかけて世界同時株安が起きた。
一般的には中国株の暴落が引き金と言われるが実際はインド株の暴落が本当の引き金だ
った。インドや中国の株安はバブル不安等から生じたものだが、その背景にはアメリカ株の
バブル不安があった。
もうそう日記では昨年3月次のように書いた。
[230] 世界的な株大暴落 2007/03/01
久しぶりに株が大暴落である。出遅れ気味と言われていた日本株だが最近は堅調で日経平
均は1万8千円を超えていた。テレビの経済番組でもほとんどの「占い師」がこの先上がると
強気だった。
それが大暴落だから「占い師」達は内心大慌てだろうが、そこはたいしたもので大暴落の原
因などを解説している。
今年に入り売買高や売買代金が昨年後半より大幅に増え、個人投資家が復帰してきたと言
われていた。そうなるとこの大暴落で頭を叩かれた個人投資家は少なくないと思われる。
昨年10月29日の「もうそう日記(205)]でアメリカ株の「根拠なき熱狂」を書いたが、バブルは
アメリカだけではなかった。なお、日本の超低金利がこれらのバブルの元だとする意見も多
い。
いずれにしろ日本株も含め、世界的に高値警戒感が出て来たときにインドや中国の暴落が
あり、これが世界的な暴落の引き金になった。
日本の金利が少し上がったからと言って世界的な調整が行われるのはおかしなことだが、
ババを掴みたくないという投資家心理は万国共通である。
ただしどの国でも最終的に損を被るのはキリギリスさん達ではなく「真面目なアリさん達」であ
る。キリギリスさん達の思惑で企業価値や株式市場全体の価値が1日で数パーセントも変動
するようなシステムをアリさん達はキリギリスさん達から押しつけられているのである。
(もうそう日記終わり)
この暴落時には一部で「円キャリートレードの巻き戻し」や「サブプライムローン」の話題も出
たがそれは大きな声にはならなかった。アメリカの1月の中古住宅販売件数と2月の消費者
信頼感指数はともに市場予想を上回っていたからである。
その後世界的に株価は何事もなかったかのように上昇を始め、日本でも日経平均は再び1
万8千円を超えた。しかしここでまた世界的な株暴落が始まった。
もうそう日記では昨年8月次のように書いた。
[258] 2日で33兆円 2007/08/11
8月9日、東証の売買代金は5兆2673億円とSQでもないのに異常な数値になった。たしかに
売買代金は7月の第2週から3兆円を超える日が多くなり、7月26日からは10連続で3兆円を
超えていた。
参議院選挙を挟んで売買代金が増加したのは、選挙で与党が大敗しようがイベントが終了
したので「売る人」も「買う人」も増加したのだろう。なお、選挙前の株価下落を買い支えたの
は個人だったらしい。
翌8月10日の株式市場は大暴落、しかも売買代金は4兆7156億円と高水準を続けた。これ
がセーリングクライマックスになるのか、さらなる暴落の開始となるかは誰も分からない。
最近の世界的な株価の乱高下はアメリカ経済の先行き不安に原因がある。今年の3月初め
に起きた「中国発」とされる世界同時株安も中身はアメリカ経済不安が本当の原因だった。
このアメリカ経済の不安原因として今年の初めからくすぶり始めていたのが最近急にテレビ
局が取り上げ始めたアメリカのサブプライムローン問題である。
この半年以上、テレビの経済番組でサブプライムローン問題が経済に対して深刻な影響を
与えると明言したエコノミストは見あたらない。言い換えれば「みんなで渡れば怖くない方式」
で世界中の金融機関がサブプライムローンでデリバティブを組んで来たのだろう。だから「関
係者」のエコノミスト達がこれを批判することもないはずだ。
いずれにしても、欧州中央銀行は9日、10日の2日間で25兆円、アメリカ連邦準備制度理事
会も同じく9日、10日の2日間で7兆円、また、日本銀行も10日に1兆円の資金提供を行った。
これで信用不安を一掃できるか分からないが、ひとつの山は越したかもしれない。
アメリカの問題なのに欧州中央銀行が25兆円も用意するとは驚きである。世界金融はインタ
ーネットのように有機的につながっている。これはこれで良いことなのだろうが世界中の人が
知らないうちに「連帯責任」を負わされている。そして一部の人達が膨大な報酬と退職金をも
らうのである。
[259] 後は野となれ山となれ 2007/08/13
東証の発表によると、参議院選挙前1週間(7月23日〜27日)の外国人の現物取引は2870億
円の売り越しだった。一方、個人投資家の現物取引は4345億円の買い越しだった。すなわ
ち個人が外国人に対抗したのである。勇ましい!
さていまや国内株取引の60%が外国人と言われる。少し前までは50%だったから国内機関投
資家や個人に今までの勢いがないということだろう。それとも国内株には以前より魅力がな
いので、高利回りの外国株や外国債に向かっているのかもしれない。
アメリカの住宅バブルはここ2〜3年懸念されてきた。しかし高利回りに目が眩みリスクを忘
れ多くの金融機関が組み入れて来た。まさに金融バブルだったわけだ。
そもそもサブプライムローンで低所得者層が「投機ゲーム」をやっていたわけでネズミ講のよ
うに最後は破綻する。家を手放さなければならない人達は気の毒であるが、その一方で貸し
付けに回った側では膨大なボーナスや退職金をもらってすでに逃げた連中もいるだろう。
以前の南米金融危機やアジア金融危機でも問題が表面化する前に逃げた連中はいた。何
年も過ぎてからボーナスや退職金を返せと言っても後の祭りである。日本でもバブルを逃げ
切った連中は高笑いだったろう。
日本だけでなく、世界中で「後は野となれ山となれ」と無責任なキリギリスさん達がアリさん達
をカモにしている。多くのアリさん達はそれを知らないし考えようともしない。
(もうそう日記終わり)
2日で33兆円もの公的資金の投入があったにもかかわらず事態は収まらなかった。むしろ事
態はそれ程深刻と受け止められた。さらなる暴落の始まりである。
筆者はTontonSystemのメールマガジンのコラムで次のように書いた。
第139号「暴落暴落大暴落」2007年08月20日
Topixは8月10日の暴落後、8月14日に若干戻したが15日暴落、16日暴落、17日大暴落と急
降下である。8月9日、10日で計10兆円もの売買があったがこれで流れが変わったわけでは
なかった。
参議院選挙前の暴落を買い支えたのは個人投資家と言われる。その後も外国人の売りが
続く中買いに回ったのはやはり個人投資家と推測される。
ところが8月15日、16日、17日の3日間で約10%もさらにTopixは下がってしまった。この3日間
の売買代金は約11兆円である。
個人投資家の半分以上は信用取引を行っている。さすがにこれだけ暴落すると持ちきれず
投げ売りした個人投資家も多く出たらしい。さらなる暴落リスクを考えれば損切りもやむを得
ないかもしれない。
為替も急激に円高に動いている。筆者は円高論者だが急激な円高は経済には悪影響が強
すぎる。なお、円安で儲けていた個人投資家も多いと思われるがこの円高で儲けはかなり飛
んだと思われる。
今回の株や為替の急激な変動は世界的なカネ余りを背景にした無責任なもたれ合いが原
因である。「高利回り商品」のリスクを世界中で分担することでリスクが少なくなったと勘違い
した結果である。
銀行だって預金者が一斉におカネを下ろせば潰れる。それと同じでいくらリスクを分担しても
それぞれが我先に逃げようとすればパニックになるのは当然である。これでは本当のリスク
分担になっていない。
実体経済と乖離した「投機ゲーム」は世界経済を大きく混乱させる元である。筆者は「投機ゲ
ーム」を全部否定するつもりはないが、実体経済をベースにした株式市場も必要だと考え
る。それが世界経済の安定にとって要となるだろう。
「投機ゲーム」が破綻しそうな場合、その予防策を取るのが各国の中央銀行だが、ときには
方策を間違え大きな混乱を招くこともある。
そうならないためにも別のシステムを用意することが大事である。これにより中央銀行が「神
のような存在」から脱却できる。世界中のキリギリスさん達とアリさん達が納得できる新しい
株式市場の創設が必要である。
(コラム終わり)
このときの暴落の主役は先の2月から3月の暴落のとき一部話題になった「サブプライムロー
ン」問題と「円キャリートレードの巻き戻し」である。すなわち世界的な信用収縮懸念とアメリ
カ経済の先行き不安である。
原油などの値上がりは原油などの輸入国の経済を圧迫しインフレと景気後退という二重の
負担を作り出す。世界的な投機資金が株式市場や債券市場、そして不動産市場から逃避し
原油市場や金市場などに流れている。
8月の暴落後、世界的に株価は小康状態を保ったが「サブプライムローン」問題の深刻さが
具体的に明らかになってくると株価はさらに暴落した。
もうそう日記では昨年11月次のように書いた。
[268] 「二番底」を割る 2007/11/11
Topixは10月11日の1677.52から1カ月で約11%下げ11月9日には1494.35と1500を割ってしま
った。8月17日の1480.39を一番底、9月18日の1510.95を「二番底」と言っていた「占い師達」
は大騒ぎである。
なにしろ「二番底」が確認されたと吹聴していたからである。たしかにその後株価は上昇を続
け10月11日には1677.52をつけるがこれがピークだった。
「占い師達」は予想が外れても「テクニカル上のダマシ」とかいう便利な専門用語を使うので
痛くも痒くもないだろうが個人投資家の中には「二番底」という言葉につられて買いに出た人
も少なくないのではないだろうか。
もちろん下げた理由はサブプライム問題とそれから派生する諸問題である。
現物なら持っていればいいのだが信用ならのんびりしているわけにもいかない。この先どこ
まで下がるか、サブプライムによる損失が確定できないで慌てている金融機関同様不安でし
ょうがないだろう。
筆者からみればサブプライム問題とはアメリカにおける国家的な詐欺としか思えないのだが
責任者が厳しく処罰されることはないだろう。みんなで渡れば怖くない、だれも先のことは分
からない、よって最後は「自己責任」で処理されるだろう。
一生使い切れない報酬や退職金をもらったキリギリスさん達は悠々自適、ツケは世界中の
アリさん達に回される。キリギリスさん達は本当に頭がいい。
(もうそう日記終わり)
かくして世界中、とりわけアメリカと欧州の金融機関は大きな損失を抱えた。しかし政府及び
中央銀行は緊急融資と利下げしか対応策がなかった。結局、頼りにしたのは中東やロシ
ア、中国などの金融機関からの資金提供だった。今までなら日本から円高阻止の名目で資
金がアメリカに流れたが今回は表だってはみられなかった。
ただし、このコラムを配信する前日の2008年1月15日、みずほコーポレート銀行がメリルリン
チに12億ドルを出資するとの報道があった。他行が追随するかはまだ不透明である。
株価の暴落は年を越しても止まらずもうそう日記では次のように書いた。
[275] 儲ける側の論理 2008/01/05
4日の「東証大発会」で日経平均株価は一時765円下げ過去最大の下げ幅を記録した。原油
高、円高、アメリカ株安がその主な理由だが関係者は正月ボケが一遍に飛んだことだろう。
さっそくテレビではこの暴落が取り上げられて、最近おとなしかった「構造改革派」いわゆる
市場原理主義者達が「規制緩和」と「生産性の向上」を訴えていたが今やむなしい感じがし
たのは筆者だけだろうか。
サブプライム問題によるアメリカ景気の先行き不安やヘッジファンドなどの投機マネーが原
油市場を高騰させていることが世界経済の懸念材料になっているのに彼らは日本の株が下
がっているのは「規制緩和」と「生産性の向上」を停滞させているからだという。
潰れそうなアメリカ経済を支えて来たのは日本であり、最近では中国である。たしかにサブプ
ライム問題を肩代わりさせるためには「規制緩和」が、原油高騰を乗り切るためには「生産
性の向上」が必要だろう。
しかしもっと大事なことはサブプライム問題が起きないような、また投機マネーが市場を攪乱
させないようなルール作りである。この観点が彼らには欠落している。それは結局、最終的
に儲ける側の論理で話しているにすぎないからだ。
(もうそう日記終わり)
サブプライムローン問題による景気後退はアメリカ大統領選挙でも争点になり出した。1年前
ならサブプライムローン破綻が経済に与える影響は限定的との見方が多かったが今やそれ
だけでなく社会問題でもある。
アメリカ社会における格差の拡大は「変化」を求める動きとなって表れている。宗教色の強い
人々もまだまだ多いがアメリカが経済的にも政治的にも変革期を迎えていることだけは間違
いないだろう。
しかし借金体質の国民性、格差の拡大、老朽化したインフラ、将来の年金不足、その中で突
出した軍事力を持つ「手負いのライオン」と世界がどう向き合うか、これが21世紀の大問題で
ある。
続く
----------------------------------------------------------------------------
2 次号(第142号不定期発行)の予告
「サブプライム問題から考える(その2)」
----------------------------------------------------------------------------
3 TontonSystemとは
TontonSystemとは民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と
その具体的方策です。TontonSystemを理解するには、現状の民主主
義と資本主義の問題点、そして経済原則とは何か、市場原理とは何
か、を理解する必要があります。TontonSystemは、現状ではハード
ルはかなり高いですが、やるだけの価値はあると思います。
★TontonSystemの全文はホームページに記載してあります。
----------------------------------------------------------------------------
4 TontonSystemのホームページ
TontonSystemのホームページも是非ご覧ください。
TontonSystemのホームページはリンク自由です。
■トップページ http://www.tontonsystem.com
ご意見・ご感想・ご質問等は下記アドレスまでお願い致します。
■メールアドレス take3@tontonsystem.com
----------------------------------------------------------------------------
5 利用配信システム
このメールマガジンは下記の配信システムを利用しています。
■まぐまぐ http://www.mag2.com(マガジンID:0000098619)
■ melma! http://www.melma.com(マガジンID:m00075850)
----------------------------------------------------------------------------
6 登録・解除・アドレス変更
下記のURLで行ってください。いずれもメールでの解除はできません。
■TontonSystem http://www.tontonsystem.com/page068.html
■まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000098619.htm
■ melma! http://www.melma.com(マガジンID:m00075850)
----------------------------------------------------------------------------
7 バックナンバー
バックナンバーは下記のURLで読むことができます。
■TontonSystem http://www.tontonsystem.com/page068.html
■まぐまぐ http://backno.mag2.com/reader/Back?ID=0000098619
■ melma! http://www.melma.com(マガジンID:m00075850)
----------------------------------------------------------------------------
8 注意事項
★このメールマガジン記載の情報によって損害が生じたとしても
責任を負えませんので事前にご了承ください。
★このメールマガジンは、自由に配布していただいて結構ですが、
配布される場合は、メールマガジンの全文をそのまま配布して
ください。事前の許可なしに改変および他のメディアへの転載
などはご遠慮ください。
----------------------------------------------------------------------------
★発行者 孟 宗竹 ■メールアドレス take3@tontonsystem.com
Copyright(C)2002 孟 宗竹
|
|
|