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民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と方策

第143号 2008年06月20日 「サブプライムローン問題から考える(その3)」

---TontonSystemのメールマガジン 第143号--------------------------------
   
  ★ 民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と方策
     日本発のグローバルスタンダードへ!

        2008年06月20日号(不定期発行)

---------------------第143号の目次--------------------------------------

 1 今回のコラム
  ■ サブプライムローン問題から考える(その3)
 2 次号(第144号)の予告
  3 TontonSystemとは
  4 TontonSystemのホームページ
  5 利用配信システム
 6 登録・解除・アドレス変更
  7 バックナンバー
 8 注意事項

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1 今回のコラム

■ サブプライムローン問題から考える(その3)

○最近一部ではサブプライムローン問題は峠を越したとの見方が出ている。たし
かに以前よりサブプライムローン関連のニュースを聞かなくなった。金融機関の
損失などは相変わらず出ているが予想外の数字はないようだ。

世界的に株価も底割れせず最近では日本株まで上昇を始めた。国際的な投機資金
は株式市場から国債市場や原油や穀物などの商品市場に流れていたがここに来て
少しづつ株式市場に戻り始めたのかもしれない。

しかし実体経済はどうだろう。原油高に食われ企業も家計も苦しくなっている。
儲かっているのは原油産出国とそこに利権を持つ国際的な大企業だけである。

元々格差の大きいアメリカだが今回のサブプライムローン問題では高給取りに入
る金融機関の職員も大幅にリストラされている。彼らの多くはあまり貯金しない
から失業すれば中間層と言えども貧困層にすぐ転落する可能性が高い。

今までアメリカは自国の赤字を増やし世界経済を牽引してきた。赤字分は世界か
ら投資を受け入れ賄ってきた。このサイクルが永久に続くはずがないと誰もが思
いながらこれを是正する方策はなかった。

今回のサブプライムローン問題はこのサイクルに大きな打撃を与え、これにより
アメリカ経済はインフレと景気悪化というスタグフレーションに陥るとの予想も
多い。

一方、サブプライムローン問題は損失額が大きいがアメリカ政府や中央銀行が素
早く手を打ったこと、さらに各国中央銀行も協調して策を講じたことでアメリカ
経済の回復は日本の場合よりかなり早いとの見方もある。

サブプライムローン問題の損失額ははっきり分からないが仮に全世界で100兆円と
する。これをアメリカが4割、ヨーロッパが5割、その他の地域が1割損失を抱
えるとする。そうなると当事者のアメリカは40兆円で済む。

とりあえず金利を下げ、さらに不良債権と国債を交換して金融機関に資金を回す。
これで時間稼ぎしてさらに足りない分はドルを貯め込んでいる国から融資しても
らう。ただし民間企業では難しいので相手は政府系ファンドが主力になる。

アメリカよりヨーロッパの方が損失額が大きいとすればアメリカはヨーロッパに
損を肩替わりさせたとも言える。アメリカ人はヨーロッパ人より良い思いをした
のである。

アメリカの住宅バブル期に大量に建築され、サブプライムローン問題で手放され
た住宅はいずれ底値がつきアメリカ人が住むだろう。もしくは国が安く買い上げ
低所得者向けの賃貸住宅となるかもしれない。「サブプライムローン 破れて 
住宅 在り」である。

日本もバブル崩壊で不良債権が100兆円位あった。これを処理して景気を回復する
のに15年位かかった。それでも株価や地価は元に戻っていない。

日本では最終的に公的資金を入れたが基本的には預金者の犠牲と株価・地価の暴
落で処理した。これにより外資を呼び込み株価や都市部の地価は少し回復した。

筆者からみれば株価や地価を底割れさせなくても国内にある1400兆円の個人資産
で充分処理できたと思うが政策は強制的な不良債権処理だった。もちろんアメリ
カから厳しく「指導」されたのだろう。

しかし今回のサブプライムローン問題ではアメリカは自国にはかなり甘かった。
これがアメリカお得意のダブルスタンダードである。日本だけバカ正直に言うこ
とを聞いていたのである。

今回のサブプライムローン問題では日本のバブル崩壊と違い世界中にリスクを分
散し、かつ住宅はアメリカに残ることを考えると金融機関の資本増強さえうまく
いけば回復は早いとも言える。つまり土地本位制でないアメリカの方が被害が軽
いわけだ。

よってアメリカは景気回復が早ければシメシメなのかもしれない。
問題はそうは問屋が卸すかである。

○金融機関の損失は条件付きでこの先景気が悪化すれば不良債権は増加する。ま
たサブプライムローンで得した人達、その中には税収を得た政府も入るが、彼ら
の多くそして政府はすでに得した分を遣ってしまっただろう。

ただしサブプライムローン問題で引責辞任したが膨大な退職金をもらったCEO達は
別である。事実上、公的資金を注入してもらい倒産を免れているのに彼らはルー
ルに基づいてもらっていると言う。そのルールを作ったのは誰なのだと言いたい
が、いずれにしろ彼らは安泰である。

儲けたときは「俺のもの」、損したときは「みんなで負担してね」とはおいしい
ビジネスモデルである。これを考え出したキリギリスさん達は天才である。

アメリカ経済の生命線は株式市場と国債発行の維持である。これにより景気の底
割れを防ぐしかない。アメリカは強行政策は取れず国際協調路線を各国に示すこ
とで資金の提供を得られやすくする方法を取るしかないだろう。

それがいやなら軍事力のみが解決策だがもはやロシア、中国を相手に強行策を取
るのは現実的にはできないし、アメリカの豊かな支配層はそれを認めないだろう。

たしかに金融機関の回復だけなら意外に早いと思われる。ドルを増刷していけば
後は時間の問題である。しかしドル安にアメリカ経済はこの先耐えられるだろう
か。いくら富裕層が経済を支えるアメリカと言っても中間層までが打撃を受けれ
ば国内景気がよくなるはずがない。

自動車に大きく依存しているアメリカ社会は今後さらに上昇する原油高に耐えら
れるとは思えない。よってアメリカ政府は原油高にいずれ何らかの手を打たざる
を得ない。バイオエタノールと原子力発電を新たな国の目標としているのもその
一環である。

現在、産業が空洞化している中、国際競争力があり輸出余力が大きいのが穀物で
ある。穀物の輸出額は原油輸入額の三分の一程度だがドル安による工業製品の輸
出増と合わせると原油高をある程度軽減することができる。

しかも世界的な食糧不安の増大により穀物は軍事力に代わるアメリカの世界戦略
上の武器になる。さらに大統領選における共和党の保守地盤強化にもなる。まさ
に一石三鳥である。

アメリカの景気後退が予想される中でアメリカの株式市場は意外と底を割らない。
たしかにインフレ不安があるので債権から株式にカネが回ることは考えられる。
ただし中央銀行の大幅な金融緩和で金融機関には潤沢な資金がありこれが株式市
場を支えているという話もある。

ドル安による輸出増と穀物高で原油高をカバーし、さらに世界中から政治力で資
金を集めることができればなんとかなるだろうというのがアメリカの目論見だと
思う。この見通しがあるため株式市場は底堅いと思う。

金融面での回復に目安がつけば後は国内不満を抑えるためインフレ対策を講じる
必要がある。とりあえずドル安を牽制するため最近では「ドル高を望む」口先介
入が増えている。

最終目標は「サブプライムローン問題が処理できたらドルを元のレートに戻す」
これが今回のシナリオだろう。これで一件落着できれば共和党候補が大統領にな
れるかもしれない。

しかし、実体経済の復興はやはり難しいだろう。中間層の減少と貧困層の増大は
いずれ深刻な社会不安をもたらす。今後アメリカ社会がどう変貌していくか、ど
ういう国になるか世界中が注意深く見守っていかないといけない。

○国際的な投機資金は今回の金融緩和でさらに増大し、これが原油や穀物などの
価格を暴騰させていると思われる。将来的には原油も穀物も足らなくなるとは思
うが最近の暴騰ぶりはやはり異常だと感じる。

要するに、実体経済と乖離した国際的な投機資金がじゃぶじゃぶありこれが思惑
だけで世界中を回っている。言い換えればコンピュータ上だけでやりとりされる
カネが空中を舞っている。

しかし現実にはこのシステムが、世界中の普通の人々の財布から余分にカネを巻
き上げ、その結果、世界中でますます格差が拡大している。

時代劇で悪徳商人が米や油を買い占めて値段を吊り上げる手口とほとんど変わら
ないことが今でも「市場の自由」ということで行われている。何時の時代もキリ
ギリスさん達に洗脳されたアリさん達はただカモられるだけかもしれない。
 
21世紀は脱石油と食料確保という人類の存亡がかかった世紀になるがそれを解決
する「血液」としてのカネをどう扱うか、現状の国際投機資金による行き過ぎを
是正しないと悲惨な未来を迎えることになるだろう。

食料自給率40%、石油をほぼ100%輸入する日本は今後どうすればよいのか、その
理念と具体的な方策を明確にしなければいけない。

そのためにも与党と野党は「マニフェスト」で政策を明示し早く総選挙を行うべ
きである。もちろん年金、医療、介護も含め、「国の理念と方策」を問うべきで
ある。

筆者は政治・経済とも「国民の意識改革」が一番重要であり、例え混乱が予想さ
れても避けてはいけないと思っている。

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2 次号(第144号不定期発行)の予告
  「2割の法則から考える」
  
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  その具体的方策です。TontonSystemを理解するには、現状の民主主
  義と資本主義の問題点、そして経済原則とは何か、市場原理とは何
  か、を理解する必要があります。TontonSystemは、現状ではハード
  ルはかなり高いですが、やるだけの価値はあると思います。
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