| コード20040910 M97 株とおにぎりは違います
|
|
あるコンビニが2004年8月31日から店頭の情報端末で株式や個人向け国債の
販売を開始した。これは今年4月に証券仲介業が一般事業者にも解禁されたこと
によるものでコンビニとしては初めてである。
店頭に置かれた申込書類を提携している証券会社に郵送して口座を作ると、コン
ビニの情報端末やインターネットで取引ができるようになる。
記者会見した証券会社の社長は「おにぎりやお茶を買うように証券投資を始めて
ほしい」と述べたという。
まだ9月に入ったばかりで、コンビニからどのくらいの人が申し込んだかわからな
いが恐らくそんなにいないと思う。個人投資家は1年前よりは増えていると思うが、
全体からみればその割合は限定されるだろう。
個人投資家の多くはインターネットを利用した株取引をしているが、売買高が多い
のは頻繁に取引する人が多いからで、個人投資家の数がおおいに増えたからで
はない。
ところで「おにぎりやお茶を買うように証券投資を始めてほしい」はセールストーク
だろうが、サラ金のCMでも「ご利用は計画的に」と注意を促しているのだから配
慮も必要だ。
おにぎりやお茶を買うとき、中身の成分、例えば添加物にも気をつけて買う人は
少ないだろう。テレビのCMイメージや店頭の見た目で選び、あとはせいぜい賞味
期限くらいしかみない。当然値段は気にかかるが各メーカーの差はあまりない。
飲んで、また食べてうまければまた買うし、そうでなければまた別のを試すことに
なる。しかし1個100円のおにぎりと株は明らかに値段が違う。だから簡単に次か
ら次へと試すわけにはいかない。
本来は「おにぎりやお茶を買うような簡単な気持ちで証券投資を始めないで」とい
うのが正しいCMである。むしろこのコピーの方が利用者の気持ちをつかむだろ
う。
株式投資の場合、ある意味「丁半博ち」だから、ビギナーズラックというのはそれ
なりにある。例えば1回目は半分くらいの人が利益が出るかもしれない。しかし次
はそれが半分になり、また半分と、時間が経てば8割から9割くらいの人が損する
のではないだろうか。
何回も戦えば結局、素人とプロの差は明白になる。株を始める人も多いが止める
人も多いのである。
筆者の感覚では、このコンビニの設備は過剰と映る。店頭の情報端末で株取引
するような人はインターネットで取引するだろうし、インターネットや株に興味のな
い人は情報端末に見向きもしないだろう。また個人向け国債を買う人は郵便局へ
行ってしまう。
ただし、見方を変えれば、郵政民営化の受け皿、すなわち閉鎖する郵便局の受け
皿としてネットワークを強化しているとも考えられる。しかし、郵便局の「窓口ネット
ワーク」はむしろ強化される方向で動いているから、物を扱わない情報端末、特に
株式は過剰な設備ではないだろうか。
多くの国民が株式投資で国の経済を支えることは重要である。しかし、素人を引
き込んで授業料を払わせようとするのはどうだろうか。結局、多くの国民は参加せ
ず、一部の個人投資家が売買高を膨らませるだけのいびつな市場になってしまう
可能性が高い。
これでは日本の「大衆資本主義」は育たず、何時まで経っても「お上意識」の抜け
ない社会が続くことになる。
なお、トントンシステムなら「おにぎりやお茶を買うように証券投資が始められま
す」と言っておきたい。これもセールストークである。
追伸
小泉首相は、国営株式会社化を民営化と勘違いしているようだ。これでは道路公
団改革と同様、骨抜きとなるのは必至である。焼け太りでむしろ利権が拡大する
だろう。
|
|
|